日本では賛否両論あるネントレ(ねんねトレーニング)ですが、私の住んでいるアメリカでは生後3〜6ヶ月ごろに始めるのが一般的です。
うちの息子も、少し早めに生後2ヶ月でトライして一度挫折し、再び3ヶ月半で、ジーナ式という特殊なネントレにチャレンジして成功しました。
夜のねんねも昼寝も、ベビーベッドに置くだけで一人で寝付いてくれ、寝かしつけの必要がありません。
黄昏泣きや夜泣きなどのトラブルも1歳になった現在までに2,3回しかなく、たまにぐずる時もありますが、抱っこか授乳か食事ですぐに泣き止みます。
さらに、生後9ヶ月から、夜中に一度も起きずに19:00から7:00まで熟睡するようになりました。
こんなに手のかからない良い子になってくれたのは、もしかしたらネントレ云々より息子本人の性格や体質によるところが大きいのかもしれませんが、この体験記が、赤ちゃんが寝なくて悩んでいる方へ少しでも助けになればと思います。
- ネントレを実際に試してみた体験談を聞きたい方
- 具体的なネントレ方法を知りたい方
- 毎日の寝かしつけが辛い方
- ジーナ式ネントレがどういうものか知りたい方
上記のような方に、オススメの記事となります。
ちょっと長い記事(約7,000字)なので、どういうネントレ方法で成功したかをサクッと知りたい方は「5. 生後3ヶ月半からジーナ式ネントレ開始→成功」という見出しからお読みください。
ジーナ式とは?普通のネントレと違うの?
ネントレ(ねんねトレーニング)とは、赤ちゃんがなかなか寝付かなくて困っているお母さん(お父さん)のための、「寝かしつけをラクにするトレーニング」です。
生まれたての赤ちゃんのほとんどは、誰かの助けがないと自力で眠りにつくことが難しく、抱っこで優しくゆらゆら揺らしてあげたり、背中をトントン叩いてあげないと寝ません。
しかし、赤ちゃんが眠るまでひたすら抱っこでゆらゆらするというのはかなり腕や腰に負担がかかるもので、さらに「いつになったら寝るんだろう・・・」「これでせっかく寝ても、ベッドに置いたらまた起きて泣くかも・・・」という精神的なストレスも相当かかります。
10分やそこらですんなり寝てくれる子ならいいのですが、人間というのは赤ちゃんの時からすでに大きな個人差があり、元気な子だと、深夜に2-3時間ずっとユラユラしてもまだ寝なかったり、「眠いのに寝れない〜!」と癇癪を起こして延々と泣き続けたりします。
そんなまるで苦行のような寝かしつけを、「なんとかして、もうちょっとラクにできないか」と、試行錯誤することをねんねトレーニングと呼びます。今の世の中には多様なネントレ方法やネントレ本があり、「ネントレとはこうするものだ!」という定義はありません。
さらに、ネントレで達成したいゴールも、ネントレ法によって違ったりします。私が知る限りでは、下記の二つのゴールがあります。
- 寝かしつけ方法を今よりラクなものに変更する
- そもそも寝かしつけなくても赤ちゃんが自力で寝るようにする
私は最初、①の方法でネントレを始めましたが、それに挫折し、②の方法(ジーナ式)で成功しました。
その2つの方法のやり方や違い、実際やってみてどうだったかについて、これから詳しくお話ししていきます。
ネントレを決意したきっかけ
うちの息子は新生児の頃から元気が有り余っているタイプで、何時間抱っこでゆらゆらしても、ちっとも眠くならずいつまでもキョロキョロしているような子でした。
連続して眠るのは最長で1.5時間で、運が悪いと15分で起きます。そこからさらに数時間、抱っこでゆらゆらしないと寝ません。さらに、1日の合計睡眠時間は、良くて9時間、悪くて7時間ほど。
日本からヘルプに来てくれた義母がいてくれた生後2ヶ月までは、日中に息子を見てもらい、その隙に自分は昼寝をしたりしてなんとか体力回復していましたが、義母が帰ってしまってからは、育児も家事も一人でこなさなければならず、体力と気力が急激にガリガリと削られていくのを感じました。
そして、「今はなんとか頑張れているけど、こんな生活ずっとは続けられない・・・」と危機感を覚えた私は、自分を守るために、そして母親である自分がしっかりお世話しないと生きていけない息子を守るために、ネントレをしようと決意したのです。
生後2ヶ月で日本式ネントレ開始→1週間で挫折
私が最初のネントレで参考にしたのは、『赤ちゃんにもママにも優しい安眠ガイド』という本でした。
この本にのアドバイスに従って、以下のようにネントレを行いました。
- 毎日7:00に起こし、19:00に寝かしつける
- 起きている時は部屋を明るく、寝せる時は暗く
- 必ず決まった入眠儀式(ベビーベッドに寝せ、メリーの音楽をかけてお腹トントン)で寝かしつけ
- 赤ちゃんが嫌がって泣いても、決して抱き上げない。ベッドに寝かせたまま、泣き疲れて眠るまでひたすらお腹トントンする
- ネントレで頑張らせる分だけ、起きている時にたくさん遊んで甘えさせてあげる
- なぜ、何のためにネントレをするかを事前にきちんと説明してあげる
ネントレ初日は、30分ほど激しく泣き続け、やがて泣き疲れて眠りました。このとき初めて知ったのですが、泣きながら眠ると、赤ちゃんは眠りながらもしばらくヒック、ヒックとしゃくりあげるように息をするのです。
それがなんとも可哀想で、自らやると決めたことながら、「本当にネントレは息子と自分のためになるのか?」「もしかしたら私は取り返しのつかないことをしているのでは?」と、とても不安になりました。
しかし、ここでネントレを止めて抱っこゆらゆらに戻ったとしても、遅かれ早かれ生活が立ち行かなくなることは目に見えていました。
バタバタ動いてずり落ちる息子を何度も抱え直しながら、終わりの見えない抱っこゆらゆらを延々と続けるのは、体力的にも精神的にも限界でした。しかも赤ちゃんは、日に日に成長して大きく重くなります。今日明日だけならなんとか頑張れても、それをずっと続けるのは私には無理でした。
元のやり方にはもう戻りたくないし、かといって今やっているネントレが正しいのか自信が持てなかった私は、まずは一週間、今のネントレで粘ってみることにしました。一週間同じ方法を続けてみて、それで駄目だったら失敗と判断して別の方法を探すことにしたのです。
そして結果は、残念ながら失敗でした。
1〜3日目までは、徐々に寝入るまでの時間が短くなり、寝かしつけ最中の泣き方も大人しくなり、「これはいけるかも!」と思いました。
しかし4日目から、寝入った後わずか20分ほどで、いきなり大声で泣き叫びながら目を覚ますようになり、さらに、寝かしつけようとベッドに横たえてメリーの音楽をかけただけで、激しく大泣きするようになってしまいました。
唯一良かった点としては、大泣きして疲れ切った後になだめて授乳をするうちに、そのままコテッと寝てくれるようになったことです。これで息子はコツをつかんだのか、それからは眠くなったタイミングで授乳すれば、それだけですんなり寝てくれるようになりました。
抱っこゆらゆらよりは随分と楽になったので、ネントレはひとまず中止とし、それからは授乳を寝かしつけの奥の手にすることにしました。
しかし、寝た後にどんなにそーっとベッドに移しても、2回に1回は起きてしまうことが課題でした。授乳→ベッドに置く→起きる→また授乳・・・というサイクルが延々と繰り返される夜もあり、「耐えられなくはないけれど、もっと改善できないかなあ・・・」と思う日々が続きました。
生後3ヶ月で再びネントレを決意
最初のネントレから1ヶ月ほど経ったころ、私はあることをきっかけに、再びネントレに挑戦しようと決意しました。
その日、息子は何度授乳しても寝てくれず、終いには胸を差し出しても咥えなくなって大泣きしていました。
何かが辛いとか悲しいというより、眠たいのに眠れず怒っているような感じで、縦抱きしても横抱きしても身をよじって暴れるし、大好きな電動スイングに乗せてメリーと音楽を付けてもてんで駄目でした。
恥ずかしながら、私はあまり忍耐強いほうではなく、数時間なだめすかしても全く効果がないともう嫌になってしまって、「もう良いよ、あなたなんて知らない。そんなに泣きたいならそこで気が済むまで泣いてたら?」と言い捨てて、電動スイングに息子を置き去りにして(一応シートベルトはつけて安全は確保したつもりでした)寝室で寝てしまったのです。
私がきついセリフを浴びせかけた瞬間の息子の反応は、今でも忘れられません。
あれだけ大泣きしていたのにスッと黙って、「そんなこと言うママなんて嫌いだ!」という風に口をへの字に曲げました。そして私から目を逸らしてふいっと横を向いたのです。
そんな反応をされたらさすがの私もバツが悪くなり、目を合わせて謝ろうとしました。しかし息子はテコでも私を見ようとせず、じっとメリーを睨んでいました。
その頑なな様子に私は再度カッとなってしまい、後ろ暗い罪悪感を覚えつつも、息子を置いて寝室に引っ込んでしまいました。そうして久しぶりに2時間ほどまとめて眠ったあと、冷静さを取り戻して「なんて可哀想なことをしてしまったんだろう」と青ざめました。
幸いなことに、抱きしめてごめんねと謝ると息子はニコッと笑顔を見せてくれましたが、こんなことを繰り返していたら、いつか愛情も信頼も失ってしまうでしょう。
そんなことにならないために、「もうあんな悲しい思いは二度と味わわせないようにしよう。そのためには、自分がストレスを爆発させなくて済む寝かしつけ方法を見つけなくては」と決心しました。
生後3ヶ月半からジーナ式ネントレ開始→成功
二度目のネントレは、『カリスマ・ナニーが教える赤ちゃんとおかあさんの快眠講座』という本を参考に行い、成功しました。
日本でも有名な、ジーナ式ネントレの寝かしつけ方が書かれた本です。
こちら、日本語のタイトルだけ見ると、ネントレに特化した内容のように思えますが、もともとのタイトルは「The New Contented Little Baby Book(欲求が満たされて快適な赤ちゃんの本)」です。
つまり、「赤ちゃんを辛いことや不快なことから守り、心地よくのびのび育ってもらうための本」で、実はネントレのやり方なんて書いていません。その代わり、赤ちゃんの月齢ごとの、1日に守るべきスケジュールが事細かにびっしり書いてあります。
著者のジーナ・フォード曰く、そのスケジュールに沿って赤ちゃんを授乳し、昼寝させ、お風呂に入れ、寝かせていけば、やがて生活リズムが整い、自然とねんねすべき時間に眠たくなるとのこと。
そして、自然に眠たくなったタイミングを逃さずにベッドに置いてあげれば、あれこれと寝かしつけをしなくても、赤ちゃんは自力で眠りにつけるようになるのです。
私はこの考え方に、なるほどと思いました。
最初に参考にした『赤ちゃんにもママにも優しい安眠ガイド』では、ネントレとはあくまで、「お母さんがラクにできる入眠儀式を定着させること」でしかありませんでした。
つまり、寝かしつけ方法をとても大変なもの(抱っこゆらゆら)から、楽なもの(背中トントン)に変えることが目的で、お母さんが赤ちゃんを寝かしつけてあげなければいけないことに変わりはありません。
しかし、『カリスマ・ナニーが教える赤ちゃんとおかあさんの快眠講座』のジーナ式ネントレでは、赤ちゃんが自力で眠れるようになることを目指します。
もし私が赤ちゃんの立場だったら、お母さんの体力/気力/機嫌によって上手く寝かしつけてもらえたりもらえなかったりする日々が続くよりは、辛いトレーニングを頑張ってでも、自分の好きな時に好きなように眠る方法を教えてもらう方が良いと思いました。
そしてこの納得感が、「もしかして可哀想なことをしているのかも?」「私は間違っているかも?」という不安を打ち消し、「息子と力を合わせてネントレをやり遂げるぞ!」という強いモチベーションとなりました。
ジーナ式ネントレのやり方
そんなこんなで、『カリスマ・ナニーが教える赤ちゃんとおかあさんの快眠講座』を参考にしつつ、下記の通りジーナ式ネントレを行いました。
- 毎日7:00に起こし、19:00に寝かしつける
- 起きている時は部屋を明るく、寝せる時は暗く
- 抱っこで子守唄を一曲歌った後、ベビーベッドに寝せ、寝室のドアを閉める
- 5分おきにベビーモニター(赤ちゃん用監視カメラ)で赤ちゃんの様子をチェックする
- 寝かしつけから10分経ってまだ赤ちゃんが泣いている場合は、ドアを開けてなだめに行く(抱っこはしない)
- 寝かしつけから30分経ってもまだ赤ちゃんが泣いている場合は、ドアを開けてなだめに行く(抱っこはしない)
- 寝かしつけから1時間経ってもまだ赤ちゃんが泣いている場合は、抱き上げてあやす
- あやした後、少し遊ばせて気持ちをリフレッシュさせてから再度チャレンジ
- あやしても遊ばせても泣き止まなければ授乳して寝かしつける
- 昼寝や授乳も本に書いてあるスケジュール通りに行って生活リズムを作る
- どうしても赤ちゃんが眠たそう/お腹が減っていそうで泣くときは、ねんねや授乳を前倒しする
- ただし、ねんね終了の時間はスケジュールを遵守する。たとえ熟睡していても起こす
- 夜中に起きて泣いてしまっても、5分間は何もせず様子を見る
- 5分経っても寝なければ授乳して寝かしつけ(再び自力で眠りに戻れることもある)
- 授乳中に寝落ちした時は、ベッドに置くときにそうっとではなく自然に置いて、わざと少し起こす(授乳しないと眠れなくなる子になるのを防ぐため)
- ネントレで頑張らせる分だけ、起きている時にたくさん遊んで甘えさせてあげる
- なぜ、何のためにネントレをするかを事前にきちんと説明してあげる
上記の条件で、まず1週間トレーニングを続けました。
2日目あたりで、前回失敗したときと同様、せっかく寝付いても20分ほどで、いきなり火がついたように泣いて目を覚ますようになりましたが、心を鬼にして1週間、同じ方法で寝かしつけました。
するとだんだん、ちょっと目が覚めてもそのままウトウトと自分で眠りに戻れるようになり、1週間が過ぎた頃には、ベッドに置いて10分ほどですやすやと自分でねんねできるようになりました。
自己判断でやらなかったこと
なお、『カリスマ・ナニーが教える赤ちゃんとおかあさんの快眠講座』ではやるように書いてあったけれど自己判断でやらなかったことも何点かあるので、それも書いておきます。
- 本には、毎日決まった時間に搾乳し、夜にその搾乳した母乳を飲ますようにと書いてありますが(寝る前に飲みだめておき、夜中にお腹が減って目を覚ますのを防ぐため)、私は面倒でやりませんでした
- 真っ暗なお部屋でねんねさせられるよう遮光カーテンを買うようにと書いてありますが、真っ暗な状態じゃないと寝付けなくなるのも考えものだと思い買いませんでした
- 赤ちゃんの体をぴったりシーツで覆い、そのシーツをマットレスの下に敷きこむように(体を固定することで、ベッドの柵に手足が当たって起きるのを防ぐ)書いてありましたが、私はやりませんでした
- 母乳以外にも薄めた果汁や水を飲ませるように書いていましたが、母乳以外は与えませんでした
- 離乳食を開始する時期も、本の勧め(生後5カ月ごろ)よりも遅らせました
このやり方で、息子は夜7時にベッドで一人でねんねし、朝7時に自然と目が覚めるリズムを身につけました。
月齢が低いうちは、夜中に3,4回は起きましたが、授乳して再度ベッドに置くと、自然に寝てくれました。起きる回数も、月齢が進むごとに少しずつ減り、生後6ヶ月で1,2回に、生後9ヶ月で夜通し眠れるようになりました。
ジーナ式ネントレ成功記:まとめ
このように、うちには『カリスマ・ナニーが教える赤ちゃんとおかあさんの快眠講座』のジーナ式ネントレがとても合っていたようで、単なる寝かしつけ本としてではなく、育児バイブルとして何度も読み返して何度も助けられました。
月齢別のスケジュール以外にも、知っていて損はない実践的な育児情報、たとえば、
月齢の低い赤ちゃんは3時間以上起きていると、疲れすぎでかえって眠れなくなってしまう。
一旦疲れすぎてしまうと、ある程度泣かせないと寝かしつけは不可能(=泣いてしまってもそれは不可抗力で、お母さんのせいではない)。
黄昏泣き(コリック)は、赤ちゃんが欲しい時に欲しいだけちょこちょこ飲んでお腹が張ってしまうことが原因。授乳間隔をあけると治る。
といった、「そうそう、まさにそれが知りたかった!」という超お役立ち情報がたくさん載っています。
ジーナ式は、せっかく寝ている子をわざわざ起こしてまでスケジュールを守ったり、スケジュール通りに1日2回家で昼寝させるとお出かけする時間が取りにくかったりと、大変な面もあるので万人向きではないと思います。
(まあ、一度生活リズムを身につけてしまえば、ちょっとくらいスケジュールを守らなくても大丈夫なのですが。。。)
しかし、睡眠不足でお出かけどころか日常生活も辛いお母さんや、育児ストレスをどう改善して良いかわからないお母さんにとっては、頼もしい味方になる一冊です。ぜひ一度読んでみてください。
なお、ネントレのコツについて、このような記事も書いています。よろしければご一読ください。