海外赴任中に、たまに日本に一時帰国できると嬉しいですよね。日本でしかできないことは無数にありますから、「あれもしたい、これもしよう」と、気づいたらスケジュールがパンパンになってしまう方も多いはずです。
そして、一時帰国はなかなかスケジュール通りに行かないもので、急な用事が入ることや、思わぬハプニングで足止めを食らってしまうこともあります。そうすると、日本滞在の後半になって、
「しまった!あれをすれば良かったけど時間がない!」 と、重要な予定を泣く泣く諦める羽目になります・・・。
そこで、今までに一時帰国を2回経験した(そして数々の失敗もしでかした)ミイより、「これだけは必ず日本でやっておくべき!」ということ3つをご紹介します。
日本の運転免許証の更新
日本の運転免許証は、日本にいる時にしか更新ができません。海外滞在中にやむを得ず失効してしまった場合は、失効から3年以内であれば再発行も可能ですが、失効した運転免許証の再発行手続きはかなり手間とお金がかかります。
まず、警察署ではなくわざわざ運転免許センターに行かなければなりませんし、数時間待たされるうえに手数料が5000円かかります。さらに、私の住む神奈川県では戸籍謄本も提出する必要があり、まず区役所(平日の17時までしか開いていない)で戸籍謄本を取ることから始めなければなりません。できるなら、なるべく失効前に更新しておいた方が絶対にラクです。
とは言っても、通常は免許を更新できるのは、自分の誕生日の1ヶ月前から1ヶ月後まで。その2ヶ月の間に、タイミングよく一時帰国できる人なんてあんまりいないんじゃない・・・?と思われる方もいらっしゃると思います。
しかし海外に住んでいる場合は、滞在を証明ができる書類(パスポートとビザでOK)を見せれば、免許の更新期間前でも警察署で更新することができます。免許の期限が1〜2年後に迫ってきている方は、ぜひ検討してみてください。
「どうせ来年また一時帰国するから、その時に更新しよう」と思っていても、思わぬ予定変更で来年に一時帰国ができなくなることもあります。どうぞ更新は余裕を持って、お早めに!
失効した免許の再発行にも、前倒しの免許更新にも、パスポートの原本が必要です。
しかし大使館でビザの更新をすると、新しいビザがもらえるまで(だいたい1週間くらい)パスポートを取り上げられてしまいます。免許の更新は、ビザの更新で大使館に行く前に済ませておくことをオススメします。
パスポートの更新
パスポートの更新は、海外でも日本の領事館でできますが、有効期限があと1年未満のタイミングで一時帰国をする予定があるなら、その時に日本で済ませてしまうことをおすすめします。
有効期限が残り1年を切った状態でないと、パスポートの更新手続きはできません
パスポートを日本で更新した方がいい理由は2つ
パスポート更新を日本ですることをおすすめする理由は、2つあります。
- アメリカの運転免許更新のときに無駄なトラブルを起こさずに済む
- アメリカで不法滞在に間違われるリスクを減らす
以下で詳しく説明しますが、かなりややこしいので、そこまで興味がなければ読み飛ばして頂いても大丈夫です。
理由その1:アメリカの運転免許更新のときのトラブル回避
まず、一つ目の理由から説明します。アメリカでは、私たちのような移民にはI94という出入国記録カード(兼、アメリカ滞在許可証)をが与えられ、運転免許を取得・更新する際は、このI94に不備(怪しいところ)がないかチェックされます。
さらに、このI94には、最後にアメリカに入国した時のパスポート番号も登録されているのですが、その番号と、実際に持っているパスポートの番号が違うと、不備と受け取られてアメリカ免許の取得・更新ができません。
そして、日本のパスポートは、セキュリティーを強化して悪用されにくくするために、更新する度に番号が変わってしまうのです。
つまり、パスポートを更新すると、新たに割り振られたパスポート番号と、I94に登録されている古いパスポート番号が食い違ってしまうので、I94の番号を新しいものに更新する必要があります。
しかしそれはアメリカ国内ではできず、一旦アメリカ国外に出て、再入国して入国審査を受けないと更新できないのです!
しかし、日本でパスポートを更新してしまえば、その新しいパスポートを持ってアメリカに帰ることになるので、その時に入国審査で新しいパスポート番号をI94に登録してもらえます。
なので、アメリカで運転免許を更新することになって、急きょ「やばい!一旦国外に出なきゃ!」とならずに済むのです。
理由その2:アメリカで不法滞在に間違われるリスクを減らす
I94の有効期限(=アメリカに滞在し続けられる期限)は、ビザで滞在している場合は「最後のアメリカ入国から2年」なのですが、ごくまれに担当者の手違いで、パスポートの有効期限をそのままI94の有効期限にされてしまうことがあるようです。
その場合、アメリカ国内でパスポートを更新してしまうと、I94が古いパスポートの有効期限と一緒に失効してしまいます。
そして、I94の期限より長くアメリカに滞在してしまうと、不法滞在とみなされて強制退去させられ、持っているビザもはく奪されてしまいます。
かなりのレアケースではありますが、実際にそれでトラブルになった事例が日本領事館に報告されているそうです。
しかし、日本でパスポートを更新していれば、アメリカに帰る時に新しいパスポートで再入国し、I94の期限も更新してもらえるのでトラブルにならずに済みます。
日本でパスポートを更新する際の注意点
ということで、日本でパスポートを更新するメリットを2つ紹介しましたが、実は注意するべきデメリットが1つあります。
それは、新しいパスポートを貰う際、古いパスポートを中のビザごと捨てられてしまう場合や、古いパスポートの中のビザにパンチ穴を空けられてしまう場合があるということです。
古いパスポートも大切に保管すべし!
パスポートを更新しても、新しいパスポートに古いパスポートのビザを繰り越してもらえるわけではないので、アメリカに再入国するときは
- 新しいパスポート
- 古いパスポート(の中のビザ)
の両方が必要です。
なので、日本でパスポートを更新する時は、必ず、
「古いパスポートのビザがまだ必要です。ビザを傷つけずに返却してもらえますか」
と窓口で伝えてください。
また、パスポートの申請から交付までの日数は、1週間のところが多いですが、地域やパスポートセンターによってはそれ以上かかるところもあります。
必ず、アメリカに帰国するまでに新しいパスポートを受け取れるかどうか日程を確認して下さい。
病院巡り
アメリカでは、普通の内科では処置してもらえなそうな体の不調(中耳炎や骨折など)が起こった時、何科の病院に行けばいいのか調べるのが大変です。
さらに、その病院が紹介状なしのウォークインに対応可能か?自分の医療保険が使えるか?などと事前に確認するべき点も多く、ただでさえ調子が悪いところをあれこれ気を揉むのは本当に嫌なものです。
そこで、気になる不調は、何科でも気軽に受診できて健康保険も使える日本で診てもらうことをおすすめします。かくいう私も、このたびの一時帰国で、以下ようなところを巡ってきました。
- 手のひらにできた大きなほくろが気になり、皮膚科へ → 悪性の腫瘍の疑いがあり、切除を勧められる
- 長引く咳と鼻づまりが気になり、耳鼻科へ → 副鼻腔炎と診断され、抗生剤を処方される。薬を飲みきったら治った
- 歯科医で息子と自分の検診とクリーニング → 二人とも虫歯はなし。息子の歯のケアについては、アメリカの指導と真逆のことをアドバイスされ、セカンドオピニオンとして参考になった
- 息子の1歳半の検診で耳垢が詰まり気味と言われていたので耳鼻科へ → 小粒納豆くらいの大きさの耳垢が両耳から出て、「これは通常の7割程度しか聞こえていませんでしたね。中耳炎にならずに済んでラッキーでした」と言われた
- 息子のお尻にいぼ痔のような突起ができ、肛門科へ → 切れ痔と診断される(切れ痔が内部にできており、その影響で外部に見張りイボという突起ができた)。イチジク浣腸のような軟膏を処方してもらい、朝晩塗ることに
改めてみると、2カ月で5箇所も病院に行くって、すごいですね・・・。でも、ずっと不安なまま日々をやり過ごすより、専門の先生に診てもらって安心できたほうが精神衛生上良いので、やっぱり行っておいて良かったです。診察費はそれなりにかかりましたが、後悔はしていません。
人気の病院は長く待たされたり、予約が取れないこともあるので、日本に一時帰国したら、すぐに電話してみることをおすすめします。
その際、「海外からの一時帰国で、○月○日までしか居ないんです」と言うと、優先して予約を入れてくれたり、比較的空いている曜日や時間を教えてくれたりします。
まとめ
最後に、この記事の内容をまとめてみます。
海外から日本へ一時帰国する際、やっておくと後々安心なことは、以下の3つです。
- 日本の運転免許を前倒しで切り替えて、海外にいる間に失効しないようにする
- パスポートを更新し、I94の期限も延ばす
- 安心して受診できる日本の病院で、気になるところを診てもらう
どれも、「いつかはやらなきゃいけないけど、面倒だな・・・」というものではありますが、えいやっ!と今やっつけておくことで、「いつかやらなきゃ」のプレッシャーを感じずにすみます。また、やり忘れによる深刻なトラブルを起こさずに済みます。
面倒なことは後回しにするとますます億劫になり、余計な手間も増えていきます。できる時に、サクッと済ませてみて下さいね。