こんにちは、ニューヨークで駐在妻をしているミイです。
実は先月バルトリン腺炎という病気になって大学病院のER(エマージェンシールーム:緊急救命室)に駆け込んだので、その体験レポをみなさんに共有したいと思います。
- アメリカのERはどんな時に行くべき?
- ERとアージェントケアはどう違うの?
- 費用はいくらかかる?
- ER費用は医療保険でカバーできる?
- 待ち時間はどれくらい?
- どんな処置をしてくれる?
- 英語ができなくても大丈夫?
- 支払い方法の手順は?
上記のような内容を、自分の体験を踏まえてシェアしていきますので、万が一のためにアメリカERについて知っておきたい方はぜひ読んでみてください。
アメリカのERはどんな時に行くべき?
まず大前提として、アメリカのERは費用がとても高額で、待ち時間も長いです。行くとかなり体力と気力を消耗します。
なので、
- 命に関わるほど緊急な場合
- アージェントケアではできないような専門的な治療が必要な場合
でもない限り、極力行かない方が無難です。
私がERに行く原因となったバルトリン腺炎とは、膣口で分泌液を出すバルトリン腺という器官にばい菌が入り込み、分泌口が炎症で詰まって膿が溜まって腫れ上がるというなんとも痛い病気なのですが、それを直すのに膿を注射で吸い出すドレナージという治療が必要で、かかりつけの産婦人科が休みだったのでERに行きました。
立ったり歩いたりできないくらい痛みがひどく、またその日は金曜で土日にはさらにERが混むだろうと予想できたので、思い切って夫に病院まで送ってもらいました(痛くて自分で運転はできなかった)。
最初はアージェントケアに行くことも考えたのですが、近くのアージェントケアに何軒か電話してドレナージができるかと聞くとできないと言われたので、すがるような気持ちでERに行きました。
ERにも事前に電話はしていて、
- すぐ診てくれる
- ドレナージができる婦人科の医師がいる
という話だったので、ER行きを決めました。
でも実際はすごく待って大変な思いをしたので、今思えば、すぐ診てくれそうな他の婦人科のドクターのオフィスを探していればよかったです。
ERとアージェントケアはどう違うの?
アメリカには、ERよりも緊急度が低い場合に行くアージェントケア(緊急外来)という医療施設があり、土日や夜間などの普通のドクターズオフィスが開いていないときにお医者さんに診てもらいたい時には、アージェントケアの方に行くことをおすすめします。
アメリカのアージェントケアの特徴
- 24時間年中無休で開いている
- 予約はいらない(したくてもできない)
- 普通の街中にある
- 待ち時間はそんなにない(待っても1時間程度)
- 診療内容は普通のホームドクターとほぼ同様で、専門的な処置はできない
- 専門的な処置が必要な場合は、専門医を紹介してくれる
- 診察費用は普通のドクターズオフィスと比べると高いが、ERよりは安い
アメリカの病院ERの特徴
- 24時間年中無休で開いている
- 予約はいらない(したくてもできない)
- 病院(ホスピタル)の中に併設されている
- かなり待つ(私は5時間待ちでした)
- まずERの緊急医が診察し、必要に応じて同じ病院内の専門医のところに回される
- 診察費用がバカ高い(千ドルは軽く超す)
ERの費用はいくらかかる? 保険は使える?
アメリカのERの費用は、普通で数千ドルです。
私の場合、ERの緊急医に診てもらった分が600ドル、その後の婦人科で診てもらった分が4364ドルでした。合計ほぼ5000ドルです。
その金額で何をしてくれたのかといえば、触診され、ドレナージの代わりに薬物治療すると言われ、抗生剤を1週間分処方されただけです。
5時間待って抗生剤もらってそれで終了って、それなら私なんのために大学病院まで来たのと思ってけっこう粘ったのですが、私の婦人科の主治医の意向もあり(大学病院で担当してくれた医師が電話で確認を取っていました)、結局ドレナージはしてもらえませんでした。ドレナージをすればすぐに腫れが引いてとても楽になるとネットで調べていたので、残念でした。
ここら辺の事情はかなり私も思うところがあったので、またバルトリン腺炎メインの別記事で詳しく書こうと思います。
話は逸れましたが、私の今回のERの総費用は約5000ドルで、しかし加入している医療保険で全てカバーできたので実費はゼロでした。これについては、良い保険に加入してくれている夫の会社に感謝です。
なお、お手持ちの医療保険が行こうとしているERで使えるかどうか、またいくらまでカバーされるかについては、保険会社に電話して直接確認することをおすすめします。
病院が親切な場合は病院が教えてくれることもありますが、けっこう間違っていることもあるのであまり当てになりません。そして、病院が「保険OK」と言ったのにやっぱり使えなかった、という場合も、病院は何も責任を取ってくれません。
最近では、問い合わせ電話に日本語通訳をつけてくれる保険会社もあるので、ERに限らずアメリカで医療行為を受ける時は、事前に保険会社に電話しておくと安心ですよ。
アメリカERの待ち時間はどれくらい?
私がERに行った時は、処置を受けるまで5時間待ち、病院に着いてから6時間後に全ての手続きを終えて病院を出ることができました。
以下、その日に起こったタイムスケジュールを簡単に書き出してみます。
10:00 病院に到着
10:30 看護師による問診を受ける
11:00 カウンターに呼ばれて同意書にサイン
11:40 婦人科の病棟に呼ばれる
13:30 触診を受けるも、再び待合室に戻される
14:30 あまりにも待つので看護師に苦情を言う
15:00 腫れている股で椅子に座り続けるのが辛く、ベッドに寝たいとごねるが受け入れられず
15:30 待合室にさっき触診した医師が来て、抗生剤を処方すると言われる。ドレナージしてとごねるが受け入れられず
16:00 処方薬の説明書や診察レポートをもらって帰宅
ずっと座っているだけで痛いし、携帯の電池は切れる寸前だし、お昼ご飯は食べ逃すし、もうあんまりにも辛かったので帰り際に看護師さんに、
「エマージェンシーで来て5時間待つってちょっとおかしくないですか? ふつうどれくらい待つものなんですか?」
と聞くと、
「うちの病院では、平均で5時間ね。辛かったと思うけど、ごめんなさいね」
と謝られました。NYU Langone HospitalではERで5時間待ちが普通らしいですよ。
あとからGoogle Mapの評価を見たら私のような星1つ体験がわんさか出て来たので、みなさんはERに行くにしても、どうぞ他の病院を選んでみてくださいね。
ERではどんな処置をしてくれる?
大学病院のERの良いところは、なんといっても、
- その病院内でその日のうちに専門医のところに回してくれる
ところにあります。運が悪いと、その日のうちに専門医が捕まらず、後日また来てねと言われることもあるようですが、私は5時間待ちでしたがその日のうちに完結できてよかったです。
また緊急度が高い場合は、その日のうちに手術してくれることもあるようです。
なので、
- すごく痛くてすぐ処置して欲しいけれど、原因不明で何科にかかれば良いかわからない
という場合は、大学病院のERが役に立つと思います。
英語ができなくても大丈夫?
アメリカの大学病院では、現在はほとんどのところが電話通訳サービスと提携していて、無料で日本語通訳をつけることができます。
病院の受付カウンターでレジストレーションをするときに通訳がいるかどうか聞かれるので、そのときにYesと言うだけでOKです。
ただし、たまに通訳サービスが有料になる病院もあるようなので、念のため「このサービスって有料ですか?(Should I pay for this service?)」と聞いておくと安心です。
実は私はついつい頼むのを忘れて未だにこの医療通訳を利用したことがないのですが、次に病院にかかるときこそは試して見たいと思っています。
ERの費用支払いはどうすればいい?
ERに限らずアメリカで診察を受ける場合、まず受付で保険証を見せて保険情報を提示する必要があります。
診察後の支払いは、まずは病院側が自分の保険会社にコンタクトを取って費用を全額請求してくれるので、診察後は患者はそのまま何も支払わずに帰ってしまってOKです。
後日、保険会社が病院の請求を承認したか、実際にいくら支払ったかの連絡をもらえるので、それを元に、もし全額支給が通らなければ差額を病院に支払います。
病院から請求書が来るのを待って、その請求書の指示に従ってカード払いすればOKです。
アメリカの大学病院ER体験レポ:まとめ
さて、ここまでで、アメリカの大学病院のER(緊急救命室)について、以下のことをご紹介しました。
- アメリカのERはどんな時に行くべき?
- ERとアージェントケアはどう違うの?
- 費用はいくらかかる?
- ER費用は医療保険でカバーできる?
- 待ち時間はどれくらい?
- どんな処置をしてくれる?
- 英語ができなくても大丈夫?
- 支払い方法の手順は?
できればERに行かなくて済むのが一番良いのですが、「へえ、ERってこういうものなんだなあ・・・」とざっくり頭に入れておくと、いざという時に慌てずにすみます。
できれば前もって、自分の保険が使えて評価も高い病院ERを調べておくとさらに安心ですよ。