海外赴任や国際会議など、「絶対に英語を使わなければならない!」という場面で、英語がわからないと辛いですよね。
私もサラリーウーマン時代、うっかり月1でアメリカとの国際会議をセッティングしなければならなくなり、
「やばい! わかりませんでした~(てへ☆)では済まされない!」
と、青くなって必死で前準備に明け暮れたものです(笑)。
しかし前準備といっても、自分が発言する内容については準備できるのですが、相手のアメリカ人が話す内容となると、完全に予測して対応策を考えるなんてほぼムリです。
毎回、予想もつかないことを早口で、
「\\\\\\? $$$$$$$$!」
なんて言われて、まるでお手上げになりました。
そこで悟ったのが、
- 実践英語で、まず身に着けなければいけないのはリスニング!
- スピーキングはできなくても、最悪、「後日メールで回答します」と言えばなんとかなる
ということです。
そんなこんなで、リスニングを強化できそうな本、アプリ、WEBサイト、ポッドキャストなどを調べまくり、いろいろ試して一番効果があったのが、今回ご紹介するスマホのディクテーションアプリ、TEDictでした。
- 実践的なリスニング力をつけたい
- できるだけ楽しく英語を勉強したい
- 机に向かうのが嫌いだ
- スキマ時間をうまく活用したい
- 英語の教科書によくある、中身のない例文を読むのが苦痛だ
という方に、特におすすめの英語アプリとなります。
英語ディクテーション学習アプリ”TEDict”とは?
こちらが、その英語ディクテーションアプリ、TEDictとなります。
TEDという、人気の動画サイトがあるのですが、そのTEDの動画を使ってディクテーションするアプリなので「TED + Dictation」でTEDictです。
TEDとは、いまアツい最先端の研究や技術について、その道のプロの講演(プレゼン)を無料で見られるサイトです。
「研究や技術って、なんだか難しそう・・・」
と、身構えてしまう方もいらっしゃると思いますが、例えば私の好きな動画で、「The power of introverts (内向的な人が秘めている力)」というものがあります。
このプレゼン動画では、スーザン・ケイン博士が、
「シャイで内向的な人は、アクティブで社交的な人にはない、すごい特長を持っています。胸を張って生きていいんですよ!」
ということと、その根拠について教えてくれます。
このように、身近でとっつきやすいテーマのプレゼンもたくさんあるので、是非ためしにTEDサイトで色々検索してみてください。
さて、話がちょっと逸れましたが、そんなTEDの面白い動画を、なんとディクテーションの題材にしてしまったアプリが、TEDictです。
普通のディクテーションだけでなく、簡易ディクテーション(リスニングした文の単語の並び替え問題を解く)もできます。
また、動画をスマホにダウンロードして、オフラインで問題を解くこともできます。
英語ディクテーション学習アプリ”TEDict”の使い方
さて、ごちゃごちゃと文字で説明するだけではピンとこないと思うので、実際にTEDictを使っている画面をお見せしますね。
たとえば、この画面は、アプリの中のMost viewed(再生回数が多い人気動画)のリストです。
このリストから、たとえば、一番上のケン・ロビンソン博士の動画を選んでみると、こんな画面に切り替わります。
ここで、「Make Dictation」という青色のボタンを押すと、自動で動画のダウンロードが始まります。
ダウンロードが完了すると、「TEDICT」と「TEDICTisy」というボタンが出現します。
「TEDICT」を選ぶと、ディクテーションが始まります。「TEDICTisy」を選ぶと、ディクテーションより易しい、単語の並べ替え問題を解くことができます。
英文並び替え問題、TEDICTisyの使い方
まずは、より簡単な「TEDICTisy」の方から始めてみましょう。
「TEDICTisy」ボタンを押すと、このようにスクリプトの行番号の一覧表が出てきます。
ここで、動画の最初から始めるには「1」を選びます。
するとリスニング音声が流れ、下の画面のように、文章を構成する単語群が青字で画面下に現れます。
この青字の単語を、リスニングして聞こえた順にタップしていきます。正解すると、下の画像のように、伏字だったところに単語が埋まっていきます。
単語を全て選び終えて英文を完成させると、その下に和訳が出てきます。設定を変更すれば、単語を選ぶ前から和訳が表示されるようにもできます。
なお、上の画面では、「How are you?」までしか英文が出ていないのに、「気分はいかがですか?素晴らしいですね、ここは」と、次の英文を先取りした和訳が出てしまっています。
これが、TEDictアプリのやや不完全なところで、英文と和訳がきちんと対応していない部分がチラホラあります。
英文ディクテーション機能、TEDICTの使い方
さて、次に、本来のディクテーション機能、「TEDICT」の方の使い方もご紹介します。
下の画面のように、自分で一文字ずつ入力するタイプのディクテーションとなります。
ディクテーションを中断するときは、左上の「戻る」ボタンを押すと、一覧画面に戻ります。
上の画像のように、自分が回答し終えた文章には、赤い✓がついていきます。これで、ディクテーションの進捗を確認できます。
TEDictを使うメリットとデメリット
このように、好きなTED動画でディクテーションができるTEDictですが、他の英語教材と比べて、何が良くて何がイマイチなのかを説明してみます。
TEDictを使うメリット
まずメリットとしては、以下のことが挙げられます。
- 自分が興味のあるプレゼンを選んでディクテーションできる
- 興味のある内容だから、楽しみながら英語を勉強できる
- 「1画面に1文ずつ」しか表示されないので、「うわあ、まだこんなに残ってる・・・」とゲンナリすることがない
- 一文ずつ和訳をつけてくれるのでいちいち辞書を引かなくていい
- 手軽なケータイアプリなので、思い立った時にすぐできる
- イヤホンを付ければ通勤中などのスキマ時間に勉強ができる
- 英語の勉強をしながら、知識も身に付く
- アメリカ英語だけでなく、いろいろな国の人の英語に耳を慣らすことができる
- 優れたプレゼンを多数見ることで、自分のプレゼンスキルも上がる
なお、このアプリには、英語が早すぎて聞き取れない人用に、音声の倍速を変更できる機能があります。が、個人的にはあまりおすすめしません。
その理由は2つあり、ひとつは、音声がやや不自然になって不快に感じてしまうこと。
もうひとつは、ゆっくりな英語ばかり聞いていたら、いつまでたってもリスニング力は身につかないからです。
一度聞いただけでは全くわからない早いネイティブ英語も、その文章を文字で読んで、それから何度も何度も繰り返し聞いていくと、「あっ、いまわかった!」という瞬間が来ます。
そういう瞬間を何度も経験するうちに、意外とすぐに、耳が早いスピードに対応できるようになっていきます。
ぜひ、再生速度は変えずにリスニングをがんばってみてください。
TEDictを使うデメリット
次に、私がTEDictを使ってみて感じたデメリットを箇条書きにしてみます。
- 音声で言っていることと、ディクテーションの正解文が違うことがある
- たまに和訳が間違っている
- 英語初心者には難しすぎるかもしれない
- 有料アプリなので、少しコストがかかる
まず、音声と正解文(英文スクリプト)の食い違いについてですが、全体の5%くらいの割合で起こります。和訳の間違いは、それより少ない1%くらいです。
これらについて、私は、「まあ、2.99ドルのアプリだし、これくらいのミスは許容できるな」と思っています。
私は、問題に数回チャレンジしてみて解けなければ、あっさり正解を見てしまうタイプなので、これらの不具合があってもストレスはあまり感じませんでした。
次に、「TEDictは初心者には難しすぎるかも」というデメリットについてお話しします。
極論になってしまいますが、実際使ってみて、「全くわからなくてやり続けるのが辛い!」と思うならやめればいいし、そうでないなら続けるといいです。
ただ、これだけ知っておいてほしいのが、
- プレゼン動画を通し見ただけではチンプンカンプンな人も、TEDICTicyで一文ずつ丁寧に聞いていけば内容がわかることがある
- 今は難しくても、順当に英語のレベルを上げていけば、このアプリはいつか必ず役に立つ
ということです。
これは英語に限らず、何をするときでもそうですが、一見難しいことでも、やるべきことを細分化して少しずつやるようにすれば、「あれ?意外とできるじゃん!」ということに気づき、やる気が加速度的に上がってきます。
TEDICTicyは、まず長いプレゼンの一文の、さらに一単語だけに集中してリスニングをして、選択肢の中から正解の単語を選ぶアプリです。
たったの一語に集中して何度も音声を聞けば、単語の候補群から正解を選ぶことは意外とカンタンです。そして、その作業を積み重ねていけば、すぐに一文が完成します。
そこで和訳を確認して、もういちど音声を聞いてみると、さっきまで聞き取れなかった文が聞き取れるようになっています。
そして、この一連の作業を繰り返していけば、いつかはプレゼン全体の並べ替えも完成し、
「毎日ちょっとずつやっていたら、いつの間にかプレゼン全体を①丹念に聞いて、②スクリプトを文字で読んで、③和訳も確認する、までの勉強を終えていた!」
ということになるのです。
さらに嬉しいことに、その時点で再び動画を通し見てみると、なんと、だいたい意味がわかるようになっています。
TEDictで得られる効果
TEDictを使って何か月でどれほどリスニング力をあげられるかは、やる頻度や使い方によって変わるので何とも言えません。
が、ご参考までに、私が使ってみてどうだったかをご紹介しておきますね。
私は、このアプリを1日30分~1時間程度、一か月ほど続けたところで、試しに英語のBBCニュースを聞いてみたら少しわかるようになっていました。
また、苦手だったアメリカとのWEB会議で、すべては聞き取れないまでも、
「この部分がわからなかった。これってこういう理解で合ってる?」
くらいの質問はできるようになった自分に気づいて嬉しくなりました(すべてが全くわからないと、そもそも質問のしようがないのです・・・汗)。
また、TEDの動画をいろいろ物色するうちに、ダン・アリエリーという心理学者の大ファンになって、彼の著作「予想通りに不合理」を買って読みました。
そしてそんな自分を、「私、いまめっちゃアカデミックなことしてる!」と、少し誇らしく思うようになりました。
まとめ
いかがだったでしょうか?
この記事では、
- 英語でリスニング力がとりわけ大事な理由
- ディクテーションアプリ TEDictとは?
- TEDictの使い方
- TEDictのメリットとデメリット
- TEDictで得られる効果
についてご説明しました。
「小さなステップを重ねていけば、やがて大きな成果を得られる」というのは誰もが知っていることですが、私のような面倒くさがりの人間にはなかなか難しいことです。
しかしTEDictは、その小さなファーストステップを、「これだけやればいいんだよ」とお膳立てしてくて、最初の一歩を踏み出しやすくしてくれます。
皆さんもぜひ、TEDictの力を借りて、「なんか知らず知らずのうちに英語がわかるようになってた!」という嬉しい驚きを味わってほしいと思います。