最先端の研究や技術について、無料のプレゼン動画を視聴できるTEDというサイトをご存知でしょうか?
TEDでは、その道のスペシャリストが一般人向けに10~30分ほどのプレゼンを英語で行うTED talksというイベントを毎年一回カリフォルニアで開催しています。
そこで成されたプレゼンは動画として、無料でサイトに掲載されています。
TEDサイトを訪問すると、そのTED talks動画を制限なしに何度でも再生することができます。
さらに、プレゼン動画に英語や日本語の字幕をつけることや、プレゼンで話した内容を文章として、英語や日本語のスクリプトで読むこともできます。
TED talksでは、心理学、デザイン、テクノロジー、教育、モチベーションUPなど、多種多様のトピックが豊富に用意されており、自分の興味のある動画を検索して選ぶことができます。
そのため、
- 普通の英語教材ではすぐに飽きてしまう人
- 楽しく英語を学習したい人
- 英語学習をしながら知識も増やしたい人
- 英語での上手なプレゼン方法を学びたい人
に、ぴったりのサイトです。
私もこのTED talksには数年来お世話になっており、今回の記事では、英語初心者がTEDを使って効率的に楽しく英語学習する方法と、自分のレベルに合ったプレゼン動画を選ぶコツをご紹介したいと思います。
また、オマケで、私が今まで見た中で特に面白かった動画も5本紹介します。
TED talksで楽しくムダなく英語学習するコツ
TED動画は、自分の興味があるプレゼンを上手く選べれば、とても楽しいです。
私はTED talksのサイトを開くと、次々に興味のある動画を見つけてしまい、気づいたら1時間近く経っていた・・・(やばい、家事ぜんぜんできてない!)。
ということもザラです(笑)。
しかし一方で、
- TED talksを使った効果的な英語学習方法を知らないと、ただ楽しいだけでいつまで経っても英語が身につかない
- TED talksを使った楽しい英語学習方法を知らないと、続けるのが苦痛でそのうちやめてしまう
という問題があります。
そこで、楽しくかつ効果的に英語を学習するための、ちょっとしたコツをご紹介したいと思います。
字幕をつけるなら英語字幕のみ(日本語字幕はダメ)
TED talksでは、設定を変えることでプレゼン動画に日本語や英語の字幕をつけることができますが、日本語字幕をつけると、基本的に英語学習効果はほぼゼロになってしまいます。
なぜなら、ついつい日本語で字幕を追うことに集中してしまい、英語を聞き流してしまうからです。
私は学生の頃ハリウッド映画が好きで、毎週末に10本くらい借りて観ていた時期がありましたが、 一本2-3時間もする映画を毎週10本観ても、学校の英語の点数は上がりませんでしたし、英会話の授業でも相変わらず聞き取れない&喋れないままでした。
英語字幕に関しては、リスニングだけである程度内容がわかって楽しいなら、字幕はつけないほうがいいですが、
「字幕がないと何を言っているか全然わからない! 楽しくない!」
という場合は、英語字幕をつけることをおすすめします。
わからない・つまらないと思った動画はやめる
「あ、このTED動画、面白そう!」と思って5分くらい見てみたけれど、
- プレゼンテーターが早口すぎて何を言っているかわからない・・・
- わからない単語や難しい言い回しが多すぎる・・・
- そもそもあまり面白くない・・・
- 動画が長すぎて飽きてきた・・・
という場合は、潔く停止ボタンを押して、次のTED動画を探すことをおすすめします。
なぜなら、英語が難しすぎると感じる動画は、まだあなたの英語レベルが動画に合っていないので、そのまま見続けても英語学習効果が薄いからです。
わざわざ苦労してあんまり面白くない動画を見て、さらに英語学習効果も薄かったら、がんばった甲斐がないですよね。
さらに、がんばったのに成果が出ないと学習意欲も下がってしまうので、気持ちを切り替えて次に行きましょう。
TEDには何千という膨大なプレゼン動画があるので、もっと易しめのものを観て英語レベルを上げてから、再度また挑戦すればいいのです。
プレゼン内容/単語/文法を全て理解&暗記しようとしない
日本の英語教育では、リーディングの教科書を一言一句もらさず和訳して、文法の構造(SVOなど)を理解して、わからない単語は意味を調べて暗記して・・・という果てしない作業が続きますよね。
そんな英語学習方法に慣れた私たちは、TED talksのような動画サイトを活用するときも、つい、
- 一言一句すべて意味を理解して
- わからない文法は調べて
- わからない単語は意味とスペルを暗記!
というような勉強をしてしまいがちです。
そして、それがとんでもなく苦痛なので、そのうちやる気がなくなってやめてしまいます。
私も長い間、上記のような英語学習法が正しくて、一番効果的で、それができないズボラな自分はダメな奴だと思っていたのですが、この本に出会ってから、その価値観が180度かわりました。
この本によると、
ある程度意味がわかって読んでいて楽しい英語の本(または動画や音声)を、とにかくたくさん読む(聞く)のが英語上達の一番の近道と書かれています。
具体的には、
- わからないところは読み(聞き)飛ばしてOK
- 辞書や文法本は一切見なくてよし
- 和訳はしなくてよし
- わからないところが多すぎて楽しくなければ次の教材を探す
で、とにかく英語で何かを楽しめば、英語力はメキメキと上がっていくと言うのです。
私も初めは、
「そんな都合のいいことあるかーい!」
と思ったのですが、試しにちょっと自分でやってみて、これで効果があったら儲け物だぞと考え直して実験的に、この「多読(多聴)」英語学習法を試してみることにしました。
その結果、「今まで真面目にコツコツがんばってきた努力はなんだったの?(涙)」と思うくらい簡単に英語力がつきました。
具体的には、リスニング力が上がって、前よりもアメリカ人に「Sorry…?(すみません、今なんて?)」と聞き返す頻度が減り、さらに複雑なことも割とすんなり英語で説明できるようになりました。
なので皆さんも、どうぞ騙されたと思って、まずは面白そうと思うTED talkを、字幕無しで(もしくは英語字幕で)数本見てみてください。
「そうは言っても、私は初心者で、英語のプレゼン動画を日本語字幕なしで楽しむなんてできない・・・」
と心配される方もいらっしゃるかと思いますが、大丈夫!
初心者でも、英語に不安があっても楽しめる動画を探すコツを、これからお伝えします!
TED talkで初心者でも楽しめる動画を探すコツ
TED talkでは、ものによっては専門用語が多く難しいプレゼンもありますが、上手く探せば、英語の初心者でも楽しめる動画を見つけることは可能です。
そのコツを、これからご紹介していきますね。
自分の興味のある分野を探す
まずは、自分の興味のある分野から探す、これが一番大事です。
自分が「面白そう!もっと知りたい!」と思えるような内容なら、多少わからない単語や言い回しがあっても、熱意があるので最後まで見続けることが可能です。
また、自分に事前知識があるトピックなら、英語がわからなくても、
「ああ、たぶんあのことを言ってるんだろうな」
と推測がつきやすく、
「へえ、Sustainabilityって、つまり持続可能性って意味か」
と、動画を見るだけで察して単語を覚えてしまえたりします。
私は心理学やモチベーション、効率化といったトピックが好きなので、それらの動画を見るときは、多少わからない部分が多くても、
「ちょっとこの単語だけ辞書引いちゃお!」
などと勉強に一手間かけることが苦にならず、最後までプレゼンを見通すことができます。
視覚要素の多いプレゼン動画を選ぶ
TED talkは全てプレゼン形式なので、ひとつひとつの動画には、パワーポイントのプレゼン資料がスクリーンに映し出されています。
このプレゼン資料に絵や写真などの視覚要素が多いTED動画であれば、内容を追うのがだいぶ楽になります。
デザイン系や建築系、あと以外に心理学(実験の説明など)では、絵や写真といった視覚的な情報が多く、理解しやすいです。
TED talkのおすすめプレゼン動画
さて、ここまでで、TED talksを使った効率的で楽しい英語学習方法と、初心者でも楽しめるTED動画の選び方についてお話しました。
ここまで読んで、
「で、具体的にどのプレゼンが面白いの? おすすめを知りたい!」
という方もいらっしゃると思うので、私の独断と偏見で選ぶ、超おもしろいTED動画を5つご紹介します!
私たちは本当に自分の意思で選択できているか? / ダン・アリエリー
さて、ひとつめは、私のダントツでおすすめの動画、「Are we in control of our own decisions?(私たちは本当に自分の意思で選択できているか?)」です。
心理学と行動経済学を専門とするデューク大学の行動心理学者のダン・アリエリー(Dan Ariely)博士による、人間がつい無意識にとってしまう不合理な行動のメカニズムについてのプレゼンです。
ダン・アリエリー博士は、人々が何かを選択するときに、ついやってしまう思考のクセや偏りについて研究していて、
「こんなとき、人は本来Aを選ぶべきなのに、なぜかBを選んでしまう人が多い。そのカラクリはこうだよ」
と、面白おかしい具体例をあげながら説明してくれます。
たとえば、タイプの違うイケメン二人のどちらが好みかを選ばせる実験があるのですが、何のバイアスもかけない状態で人気投票をすると、結果が1:1になるのに、ある仕掛けをすることで、AくんがBくんより魅力的に見えるようになります。
このように、一風変わった人間の心理の実験とその結果を、絵や図を交えながらプレゼンしてくれるので、わかりやすいし、興味を持って動画を見ることができます。
博士はイスラエル出身で、英語に少し訛りがありますが、内容は私が見た中で一番面白いです。
ちなみに、私はこの動画にハマりすぎて、ダン・アリエリー教授のベストセラー著作、”Predictably Irrational”(邦題「予想通りに不合理」)を買って読みました(笑)。
このTED動画と同じテーマをさらに深堀りした内容になっていますので、プレゼンを見てみてハマったら、ぜひ読んでみてください。
内向的な人が秘めている力 / スーザン・ケイン
ふたつめのおすすめ動画は、スーザン・ケイン博士の「The power of introverts(内向的な人が秘めている力)」です。
タイトルどおり、内向的な人が、内に秘めている才能と能力についてのプレゼンです。
内向的でおとなしい人は、活発で外向的な人と比べて劣っていると思われがちですが、実は内向的な人には短所だけではなく、他にはない優れた特性があります。
このプレゼンでは、その内向的な人の強みとは何か? そして、それを最大限活用するにはどうしたらいいか? ということを教えてくれます。
おうち大好き引きこもりの私は、このTED動画を見て、かなり大きな希望と安心をもらいました(笑)。
無理に自分を偽って社交的に振舞うのではなく、自分なりの良さを自覚して、堂々と社会に貢献すればいいという主張には説得力があり、私もこの人みたいになろう(プレゼンテーターのスーザン・ケイン博士もバリバリの内向型です)という目標を抱かせてくれました。
宇宙人がいるかもしれない3つの衛星と1つの惑星 / ジェームズ・グリーン
3つめのTEDおすすめ動画は、ジェームズ・グリーン博士の「3 moons and a planet that could have alien life(宇宙人がいるかもしれない3つの衛星と1つの惑星)」です。
NASAの惑星科学部門の部門長による、地球以外の星に生命体はいるか? いるとしたらどこか? という内容のプレゼンです。
生物がいる可能性がある4つの星を、その根拠とともに紹介してくれます。
ゆっくりと滑舌よく話してくれるので聞きやすく、まだあまりリスニングに慣れていない方にもおすすめです。
もっとうまく働くための幸せな秘密 / ショーン・エイカー
4つめのTEDおすすめプレゼンは、ショーン・エイカーの「The happy secret to better work(もっとうまく働くための幸せな秘密)」です。
このプレゼンでは、幸せになるためには努力して成功しなければならないという世の中の常識が、実は逆だった!ということを教えてくれます。
意識的にポジティブなことに目を向け、まず幸せな気分を(多少無理矢理にでも)作り出すことによって、仕事の生産性や成功率を上げる方法を解説してくれます。
かなり早口で滑舌もやや不明瞭ですが、きちんと聞き込めば、独特のユーモアのある語り口に笑ってしまうこと間違いなしです。
赤ちゃんがお母さんのお腹の中で学ぶこと / アニー・マーフィー・ポール
さて、最後のおすすめTED動画は、アニー・マーフィー・ポールの「What we learn before we’re born(赤ちゃんがお母さんのお腹の中で学ぶこと)」です。
実は人間は、胎児の段階から学習を始めているという、驚きの新発見について説明してくれます。
胎児がいつ、どんなことを学んでいるか、そしてそれは何のためか、最新の実験とその結果に基づいて解説してくれます。
個人的には、ある赤ちゃんが、お母さんが妊娠中に毎日見ていた昼ドラのオープニングテーマ曲を覚えていたというのが大変ツボでした(笑)。
このプレゼンは、私がまさに妊娠中のときに見たのですが、これを見てから、
「生まれる前の赤ちゃんって、思った以上に外界から刺激を受けてるんだ・・・。私、下手なことできないな」
と、ちょっと末恐ろしくなったのを覚えています。
TED talksでの英語学習とおすすめ初心者向け動画:まとめ
さて、ここまでで、
- TED talksを使った効率的で楽しい英語学習のコツ
- 初心者でも楽しめるTEDプレゼン動画の選び方
- おすすめのTEDプレゼン動画5つ
についてご紹介しました。
TED talksでの英語学習は、慣れるまでがちょっと大変ですが、慣れてしまえば、
- 英語を学習しながら教養や知識も身につく
- 自分の興味のある内容だから続けやすい
- 英語でのプレゼン方法のスキルを学べる
といったいいことづくめです。
また、この記事では、TEDを使ってディクテーション勉強ができるアプリを紹介しています。ご興味があればこちらもご参照ください!